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なつ静
まあラブラブ

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今年も、バレンタインという日がやってきた。

行事を事前に気づいたのは、私として結構珍しい方だな…。


今年もあいつはくれるんだろうか…?


それは勿論静留のチョコだ。私と会って次のバレンタインから、静留は欠かさず私にくれる。

何か…毎年もらうだけではつまらないような気もする。

折角気づいたことだし、たまにはあげてみるか。新鮮かもしれない。

「そうするか…」

なつきはそう呟いて立ち上がった。


************


当日


「な~つ~きぃ~」

「だあああああ!!ここでくっつくなぁ!!」

急に来られるとびっくりするんだ。…だが、決して嫌なわけではない。

「ここやなかったらええの?」

首を傾げてくる姿は…何というか、可愛い。

「まあ…な…」

そう言うと、静留はまるでオモチャをもらえた子供の様に笑った。

「なんや今日は優しいなぁ~」

静留はまた私の背中に顔をすり寄せた。

「だからやめろぉぉお!!」

なつきが静留を振り払うと、静留は何事もなかったかのように、話し始めた。

「そういえば、今日は何の日か知っとる?」

静留は腰に巻き付けていた腕を放し、嬉しそうに言った。

「…何がだ?」

勿論知っている。でも、ここで渡したらつまらない。もうちょっと粘ってみよう。

「今日はバレンタインデーやんか。何で気づかへんのかなぁ、周りがこんなにチョコレートの匂いするんに…」

静留は笑って言った。

「そういえばそうだな…」

「やから…はい、これ」

静留は持っていた鞄から、小さな袋を取り出した。

「うちはなつきが好きどすえ」

照れたようにはにかみながらそれをなつきに渡した。

「あ、ああ。…ありがとう」

未だに礼を言うというのは慣れない。

「ホワイトデー楽しみにしてますえ?」

「…何でだ?」

「やって、お返ししてくれるんやろ?」

「いや、しない」

なつきはポケットに手を突っ込んだまま、静留に向き合った。

謎の行動と言動に、静留は首を傾げるばかりだ。

「今、お礼するからな」

そう言って、ポケットの小さな箱を静留に突きだした。

「ほら……市販のだから…まあ、味は確かだ」

目を丸くして静留はそれを見ている。

「…いらないのか?」

「そ、そんなことあらへん、けど」

静留はそれを慌てて受け取って、なつきを見た。

「どうした?」

「えと…なつきがくれはるなんて思ってへんかったから…」

俯いた顔が赤くなっているのが分かる。でも、こっちだって結構恥ずかしいのだ。

「それじゃあな…」

居たたまれなくなってその場を去ろうとすると、

「待っておくれやす!」

なつきはいわれるままその場に止まった。

「な、なんだ…?」

自分の顔も今相当赤いだろう。でも、振り向かなければそれが静留には分からない。

「あの、あんじょうおおきに…」

でも、私はそういう静留の顔が見たくて振り向いた。
そこには心底嬉しそうに笑う静留がいた。

「あ、ああ…」

なつきは再び歩き出した。

とりあえず、どっきり成功だな…。
静留のあんなに驚いた表情、初めて見たかも…。

なつきはそう思いながら、家路についた。

Fin.


なつ静は夫婦でも初期でもいつでも美味しくいただける。

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