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乃梨志摩
うん、ラブラブ

拍手



************

今年も、バレンタインという日がやってきた。

去年は気づかなくて…貰いっぱなしだったけど、今年は違う。


今年ももらえるんだろうか…?


それは勿論志摩子さんのチョコ。

今年こそ、志摩子さんに最高のチョコを!!

「よ~し、頑張るぞ~!!」

私は気合いを入れて、腕まくりした。


************


「バカだ…私…」

「そうね」

「可奈子…」

私は両手いっぱいのチョコレート(去年より多い)を抱えて途方に暮れていた。
貰いっぱなしだから、志摩子さんにチョコレートを渡す。
うん、ここまでは良かった。でも貰いっぱなしにその他複数が含まれるのを忘れていた。

簡単に言うと、家に持って帰る為の袋を忘れたのだ。

「ヘルプミー」

棒読みで言ってみた。

「チアアップ」

棒読みで返された。


「ごきげんよう」

そうやってどうしようとオロオロしていると、瞳子がやってきた。

「瞳子、何か袋持ってない?」

「…デジャヴでしょうか。去年と同じことを言われたような気がしますの。しかも挨拶よりも先に言うことがそれですか?」

これは瞳子なりのイヤミだろう。

「デジャヴじゃないから。だから袋無い?」

「ありません」

「さいでっか…」

もう一つため息をつくと、

「乃梨子さま!」

『さま』なんて新鮮だなぁと思いながら、振り返る。一年生らしきその子は顔を赤くしながら、大きな袋を私に突きだした。

「あの、その…お困りでしたらこれ、貰ってください!」

中に私のも入ってますが…、と小声で付け足していた。

「ありがとう、喜んで受け取るよ」

正直ありがたいし。

「あ、ありがとうございます!」

彼女はそう言って駆けていった。そこまで緊張することないと思うんだけどなぁ。

「良かったですね。乃梨子さん」

「うん」

瞳子にそう返した。これもイヤミなのだろうけど。


************


いざというと、渡すタイミングがない。

薔薇の館で、お茶を入れながらそう思った。
去年志摩子さんがしたように手紙でも入れておくべきだっただろうか。祐巳さまと由乃さまを見てそう思う。
折角志摩子さんのために作ってきたのだから、渡さないままになんてしておきたくない。

別に仕事をしている訳じゃないので、連れ出すことは可能だが、目的が分かってしまって…何だか恥ずかしいような気がする。

ここは…恥ずかしさに耐えて…。決心して、お茶を皆の下へ持って行く。

「あ、乃梨子ちゃん。入れてくれたところ悪いんだけど、私達ちょっと用事があるから…外でてるね」

由乃さまが祐巳さまの腕を引いてそう言った。
ところが祐巳さまは何が起きたか分からないようで、オロオロとしている。

「え?由乃さん、用事ってな…むがっ」

最後までいいきる前に口を塞がれて、それでは~、何て疾風のように去っていった。
何て言うか…分かりやすすぎる。否、由乃さまは私の様子に気づいたからあんな行動を取っただろう。

「あの、志摩子さん!」

折角貰ったチャンスを無駄にしたくないとばかりに私はすぐに志摩子さんに声をかけた。

「え、何?」

志摩子さんも、由乃さま達が不審だということには気づいているらしいが、何故かは分かっていないらしい。
私のほうを不思議そうに見てくる。

「ちょっと待って」

鞄の下に行き、がさごそと中身をあさった後、チョコを背中に隠して志摩子さんのところへ戻る。

「はい、バレンタインデーのチョコ」

志摩子さんは、一度それと私を目で往復した後、にこりと笑って、

「ありがとう、乃梨子」

満面の笑みをくれた。

「こういうのあんまりしないから…上手くできたか分かんないけど…」

頬を掻きながらそう言った。

「あ、私も…」

今度は志摩子さんが自分の鞄を漁り、戻ってくる。

「はい、今年は私もチョコにしてみたのだけれど…」

「ありがとう、志摩子さん」

二人で顔を見合わせて、何だか気恥ずかしくて笑ってしまった。

今度志摩子さんの家に行ったら、ホワイトデーにどこいくか決めようかな。


Fin.


乃梨志摩は青春な恋人だよね。

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