************
いつも思うんだ。先を越されてるんじゃないかって。
「…フェイトちゃん?」
ベッドの上で仰向けのまま本を読んでいるフェイトちゃんに小声で呼びかける。
「何?」
案の定、フェイトちゃんは優しい顔でこちらを見る。
聞こえないくらいの声で言っているのに。
本に夢中だったくせに。
私の声にはすぐに反応するんだ。
「別に…なんでもないよ?」
「そう?」
さっきと違って明らかに嬉しそうな顔。そんなに私に呼ばれるのが嬉しいのかな?
「フェイトちゃん…」
「ん?」
私は呼びかけながらベッドまで這いずりながら近づく。
「…フェイトちゃん……」
「?」
その様子を不思議そうにフェイトちゃんが見ている。私はそのままベッドの上に上がった。フェイトちゃんが本を横に置いた。
「フェイトちゃん……」
「…何?」
にへらっと締まりのない顔で笑いながら、訪ねてくる。何故か悔しくなってそのまま勢いよくフェイトちゃんに抱きついた。
「ぐえっ」
思い切り乗っかったので、かえるが押し潰されたような間抜けな声を出した。でもそんなことにもかまわずに、私はフェイトちゃんの背に腕を回し、胸に顔を埋めた。フェイトちゃんは当然のように私の背に左腕を回して、右手で頭を撫でてくる。
「フェイトちゃん…」
回した腕に更に力を込める。
「どうしたの…?」
「……大好き」
「………私も、大好きだよ」
頭だけ起こしてフェイトちゃんを見ると、照れたように笑っていた。不意に顔が近づく。私は反射的に目を閉じた。チュッと額にキスが降ってきたのが分かった。目を開けると、やっぱり笑っているフェイトちゃん。
悔しい。
私だってフェイトちゃんが大好きだ。
でも、フェイトちゃんの方が私を好きみたいに見えてしまう。自惚れではなく。
私は徐に手をベッドについて、フェイトちゃんの唇に口付けた。
「私の方が…大好きだもん」
そう呟くと、フェイトちゃんは珍しくキョトンとして顔を真っ赤にしていた。
Fin.
好き好き大好き~