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君と一緒にいると心が温かくなる。
どんなものも愛おしく感じる。
何でも出来そうな気分になる。
いつも一緒にいたい。いて欲しい。
隣りで歩くのは私であって欲しい。
フェイトが風呂を終えて部屋に戻ると、ソファに髪を下ろしたなのはの後ろ姿が見えた。
「なのは、上がったよ?」
呼びかけるが返事はなかった。不審に思ってそっと近づくと、規則正しい寝息が聞こえた。
「…なのは」
起こさないように口の中で呟く。ソファの前へ回り、ゆっくりと座る。
「…疲れてるんだね」
教導隊の訓練は相当厳しい。その上に家事全般をしてくれているのだ。疲れるのも当然だろう。フェイトは息を殺してさらに近づく。
綺麗になった彼女が、昔のようなあどけない顔を晒しているのを見て、フェイトは顔を綻ばせた。
いつまで経っても可愛いなぁ…。
そっと髪を梳く。すると、気持ちよさそうに顔を緩ませた。クスッと笑い声を漏らしてしまった。
調子に乗って前髪を軽くどけると、そこにキスをする。
「ふぇいと…ちゃん…」
名前を呼んでくれた。とても幸せそうな微笑みに私まで嬉しくなる。
「なのはの中に……私はいさせてくれてるのかな?」
半分の自信と、半分の懐疑。
消極的に考えてしまうのは私の昔からの悪いクセだ。
軽く首を振ると、なのはを起こさないように抱き上げ、ベッドまで連れて行く。だが、ベッドの目の前でなのはは起きてしまった。
「あ…れ…?わたし…」
「ん?なのは、起きちゃった?ごめん」
そう言って、ベッドの上に下ろす。
「ごめんね…私寝ちゃってたんだ…」
「…きっと疲れてたんだよ。今日はもう寝よう?」
「でも…」
そう言い返すなのはにタオルケットを掛けて、自分も中に入る。
「ほら…また明日、ね?」
そう諭すと、なのはは頬を膨らまして、私に抱きついてきた。
「フェイトちゃんともっとお話ししたかったのに…」
「じゃあ、明日は絶対早く帰ってくるから…ね?」
「う…ん…」
既にウトウトし始めているらしい。私はなのはに腕枕をして、そのまま両手で抱き寄せ背中をさする。
するとすぐに再び寝息を立て始めた。
「…愛してるよ」
そう囁いて、今度は唇にキスを落とした。なのはの気持ちいい温もりに私自身も睡魔に襲われた。そのままそれに身を委ねる。
「おやすみ…」
今日も君の隣りにいれた。
明日も必ず私は隣りにいる。
君を抱きしめ続ける。
だから、君も必ず帰ってきて欲しい。
いつまでも、いつまでも。
一緒にいよう。
Fin.
とりあえず王子様なフェイトが書けたから満足(ぉ