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はるみち
あまあまだぁラブラブだぁ

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************


 
 今日はバレンタインデー。乙女が大好きなあの人に、思いの丈を伝える日。
ほら、あそこでも、一人の乙女が奮闘しているようです。
 
 
―――さあ、今年は何をあげようかしら。
チョコもクッキーもケーキも。毎年巡って来るものだから、そろそろネタがない。
みちるはバレンタイン特集が載っている雑誌に目を通しながら、微笑みを零していた。なんにしろ、好きな人のために時間を費やすのはとても嬉しいことだ。

「みちるママ~!!」

天使のような笑顔で、ほたるがパタパタと駆けて来た。

「どうしたの?」

腕を広げると、ほたるは素直に膝の上に乗ってきた。

「あのね~、ほたる作ってもらいたい物があるの♪」

「ん~?何がいいの?」

みちるはほたるに顔を近づけた。

「トリュフケーキ!!」

「トリュフケーキか……」

みちるは考えるように顎に手を添えた。

「一緒に作ろ~?」

ほたるはみちるの様子を見て、少し不安そうな顔をした。

「一緒に作るの?」

「うん!!ほたるもバレンタインデーにお菓子あげるの!!」

「誰に?」

「んーとね、はるかパパとみちるママとせつなママとちびうさちゃん!!」

「それじゃあ、頑張らなくちゃね。今年はトリュフケーキに決定ね」

「わーい!!」

  
当日
 
「ただいま~」

「お帰りなさーい!!!」

はるかが帰ると同時に、ほたるは玄関まで駆けてきた。はるかは自ら腕を広げた。子供が駆けて来たら、親は手を広げるものらしい。
案の定ほたるははるかの胸に収まった。はるかはそのままほたるを抱き上げた。

「今日ね~はるかパパにプレゼントがあるの!」

「へぇ、楽しみだなぁ」

はるかはそのままダイニングへと向かった。

「お帰りなさい、はるか」

みちるが、キッチンから出てきた。ほたるを下ろす。

「ただいま」

はるかはみちるの顎に手を添えて、頬にキスした。

「またほたるの前で、そんなことして」

脇から低めの柔らかい声が聞こえた。

「いいじゃん、せつな。それとも君もする?」

はるかは振り向いてそう言った。

「結構です」

せつなは間髪いれずに答えた。

「それじゃあ、夕食にしましょうか。もうすぐ出来るわ」

みちるはそういうと、キッチンに戻ろうとした。

「みちるママ!その前に渡したい~」

ほたるは行こうとするみちるのスカートの裾を引いてせがんだ。

「今渡すの?」

「うん!」

「冷蔵庫に入ってるわ」

そう言われると、ほたるは冷蔵庫へと向かった。

「一体何だろうな~」

あからさまに言うはるかを、みちるは横目で見ながら微笑した。はるかはモテるし、世はそのイベント一色に染まっているのだから、分かっているはずなのに。この間、デパートに行った時、節分もまだ来ていないのに、先にチョコレートがあるなんて不思議にさえ思った。
「はい。はるかパパ、せつなママ、みちるママ」

ほたるは照れたように、三つの箱をそれぞれに手渡した。箱もこだわっているようで、イメージにあった色にしたようだ。

「ありがとう♪」

「大切に食べさせてもらうわね」

「ありがとうございます」

三種三様の喜び方に、ほたるも満足したようだ。照れたようにはにかみ、

「どういたしまして!!それじゃ、ご飯にしよ。お腹減っちゃった」

そう言って席に着いた。
 
はるかはほたるからチョコを貰ってから落ち着かなかった。
大げさではないけど、分かりにくくもない。原因は分かっていた。みちるからのチョコは何時もらえるのかで気が気じゃないのだろう。せつなは二人の顔を見比べて軽く苦笑した。
余裕綽々で夕食を堪能するみちるに対し、はるかはみちるの様子を伺ってチラチラとそちらを見ていた。…夕食後は二人っきりにしてあげた方がよさそうだ。

「ほたる、やることが全部終わったら、私と遊びませんか?」

唐突に声をかけられ、ほたるは顔を上げた。

「うん!」

少し考えてから、お姫様は頷いた。

「……ずるいわ。ほたるを独り占めする気ね」

横から声が出て、そちらを見ると、みちるが少し頬を膨らませ、拗ねたような顔をしていた。こっちの姫も相当可愛い。

「いいじゃないですか。一日くらい貸してくれても。この頃一緒に遊んでいませんし」
その含みを込めた言い方に、ほたるは何か感じ取ったのか

「明日はみちるママと一緒にいるから、ね?」

と言った。まるで、あやすような言い方だ。随分ませてきている。

「……しょうがないわね」

みちるは諦めたようだった。折角二人きりにしてあげようと思っているのに、妙なところで鈍感な人だ。
 

************

 
夕食後、はるかとみちるはリビングで寛いでいた。
せつながわざわざ作ってくれたチャンスを逃すのはもったいない。はるかは早速行動に出ることにした。

「みちる…?」

楽譜に目を通しているらしく、みちるは気づいていない。それをいいことに、はるかは後ろから抱き着いてみた。

「は、はるか!?」

あまりされたことのない仕草に、慌てるみちる。かなり可愛い。

「今年はくれないの?」

直球に言ってみた。だんまりを決め込んでいる。しかしすぐに腕の中のみちるが身じろいだ。

「ちょっと待ってて」

と言ってキッチンに向かっていく。赤くなった頬を隠すように。益々可愛い。

 
「お待たせ」

数十秒でみちるは戻って来た。

「はい。はるか」

みちるが持っていたのは茶色い箱だった。

「…中、みてもいい?」

受け取ったはるかはそう言った。みちるは、無言の肯定でそれを促した。
箱を開封すると、マフィンの形をした、茶色いケーキが2つ入っていた。

「食べてもいい?」

そう聞くと、

「ちょっと待って」

と静止がかけられた。みちるははるかの手をとり、キッチンへと向かいだした。そこについて不思議そうにしていると、
「すぐ分かるわ」

と、苦笑された。表情が読めたらしい。

「一つは食べていいわ。でも、もう一つの方は貸して」

食べ物を貸してっていうのはあまり聞いたことはないが、何か考えがあるのだろうと黙って一つ差し出した。すると、みちるはそれを電子レンジに入れた。

「どうぞ、召し上がれ」

そう言ってもう一方を食べるように促した。はるかはみちるが何をしたいのか全く分からず、相変わらず不思議そうにしていたが、そのケーキを口にした。
とても美味しい。真ん中の方には、生チョコが入っているらしい。

「すごく美味しいよ」

すぐに平らげて、思ったままをみちるに伝えると、嬉しそうな顔をして、

「ありがとう。頑張った甲斐があったわ」

と言った。が、しかし、

「でも、まだそれ以上の感想は聞かないことにするわ」

今日のみちるは不思議だらけだ。レンジから、もう一方のマフィンを取り出した。

「はい」

渡されるがままに、口に入れる。すると、マフィンの中から暖かいチョコが溢れ出てきた。
先程のも美味しいがこちらもまた違う感じがして美味しい。

「フォンダンショコラよ」

「へえ、こんなのが作れるんだ」

こんなケーキもあったんだ。面白い。はるかは残りの残らず食べた。

「どう?」

今度はみちるから聞いてきた。

「どっちも美味しかったよ。すごいなぁ、同じものがこんな風に変わるなんて。驚かされたよ。ありがとう、みちる。ホワイトデー、楽しみにしといてね」

そう言って、ケーキよりも甘いキスを送った。
 
 
今日はバレンタインデー。乙女が大好きなあの人に、この暖かい気持ちを伝える日。



Fin.

今年はどうしよう?orz
 
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