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死ネタ。なのは→フェイト←はやて


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「私はフェイトちゃんが好きなの!!」

 

「私だって…私だって好きなんや!!」

 

分かってしまった互いの気持ち


分からない彼女の気持ち


狂い始めた歯車が


音を立てて決壊する

 

************


「どうしたの?なのは…」

いつの間に俯いていたのか分からない。

「ううん、何でもないよ?」

私は自分自身に精一杯になりながらも、笑顔で返す。

「そう…」

でも、彼女の悲しそうな目に気づかなかった。

「おはようさん!」

聞きたくなかった声が聞こえた。

「おはよう、はやて」

私の身体が強ばる。

「…おはよう、はやてちゃん」

「…おはようさん、なのはちゃん」

それははやても同じだったらしい。

「二人とも、どうしたの?」

「な、なんでもあらへんよ?」

はやてもまた、上部だけの笑顔を返した。


************


(三人共!!)

授業の終わった五分休みにクロノから念話が来た。

(すまないが、急いでアースラまできてくれ!!ここから近い管理世界でロストロギアが暴発したんだ!!)

(了解!)

なのは達はアリサとすずかに事情を伝えて屋上を目指した。

「何があったんだろうね…」

フェイトがはやてとなのはに合わせて走りながら答える。

「さあ、分からへん」

はやてはそう返す。

任務に向かっているはずなのに。

そんな一言だけで私の心は高揚した。彼女の向こう側にいるなのはを横目で見る。
少し顔が強ばっているのを見て、私は嫌な喜びを感じてしまった。

私達は転送魔法でアースラに直行すると、リンディさんとクロノくんが険しい顔をして待っていた。

「ごめんなさいね。授業中だったのに…」

私達が着くのを見ると、リンディさんは少し表情をくずした。

「そんなことないよ、母さん」

フェイトちゃんが答える。

「早速だが、良いか?」

クロノくんが私達を見渡す。


説明を簡略化するとこうだ。
ここから近い管理世界でロストロギアが見つかった。それはいいが、誤って発動させてしまう。
局員が直ちに向かったが、刃が立たない。しかも、次の部隊を送るのに時間が掛かるらしい。
だから、アースラに任務が来たのだ。

「ま、君たち三人で向かえば、余程のことがない限り大丈夫だろうけどね~」

エイミイは笑ってそう言った。
ヴォルゲンリッター達は、本局に行っているので今はいない。

このメンバーでどうにかするしかないのだ。


************


私達が転送された場所は、木が地面を覆い尽くすように生い茂っている森だった。
地球で言う、アマゾンのジャングルに似ている。

「すごい木やなぁ…」

はやてがそう漏らす。
でも、決定的に違うのは大きさだ。テレビや資料で見たときよりも、相当大きい。

「なんか…虫とかも大きそうだよね…」

出たら嫌だなぁ、となのはが呟く。

「クロノ、位置は!?」

『そこから西に500メートルくらいはなれたところだ。ここの生き物や局員の魔力を食って、凄い勢いで暴れてる…』

「分かった…!」

私はなのはとはやてを見た。
何だかこの間から様子がおかしい。二人の間の空気が何故かギクシャクしている。
それに、上手く言えないが、自分に気持ちを素直に言ってくれなくなったのは顕著すぎた。
二人とはずっと親友として付き合っていたつもりだが、自分は少しも頼れる存在になれていなかったのか。


だが、今そんなことを嘆いてもしょうがない。

帰ったらゆっくり聞こう…。

私はそう言い聞かせて飛び上がった。
後から、なのは、はやての順でついてくる。いつも通りのフォーメーションだ。
葉が生い茂っているので、完全に上に出てしまうと敵が見えない。少し見通しは悪いが、このままで我慢するしかない。

遠かった雄叫びがすぐ傍で聞こえる。

フェイトは一度二人に制止するように合図すると、魔力を極力出さないようにしながらそれに近づく。

それは真っ黒で、形は一見蛇の様だが、体中から尖った触手が伸びていた。
紅い目が、次の獲物を探して彷徨っている。

(どうやって行く?)

なのはからの念話だ。

(もう少し…様子を見させて)

何かがおかしい。クロノが言っているような暴れ回っている様子はない。新たに獲物を見つけたのか?
だったら、動いてもおかしくないはずだ。

その様子は餌が飛び込んでくるのを待っている蟻地獄のようだった。

フェイトは半分本能的に気づいて、なのは達にに念話を送る。

(急いで上昇して木の上まで出て!!)

《Haken Form》

フェイトは敵に向かって突っ込んだ。すると、ほぼ全ての触手が一直線に自分の方へ向かってきた。
先程なのは達がいた場所からも飛び出てくる。

やっぱり…。

フェイトはそれを躱しながら切り刻む。スピードは自分なら大したことはない。
フェイトはその本体に刃を入れる。

「ぐっ!?」

だが、固すぎてそれは通らない。

触手が追いかけてくるのを再び躱して、一度物陰に隠れる。
その黒い塊は、獲物をなくして暴れ回っていた。
フェイトはそれを見つめながら思考を再開する。

とりあえず、なのはとはやてが砲撃のチャージ。その魔力に反応してしまうアレを私が接近戦で止める。
そしてなのはの砲撃で外側をやぶり、その直後に中のロストロギアをはやてに封印してもらればいい。

これにはかなりのタイミングが必要だが、私達なら出来るだろう。

(二人とも、作戦があるんだけど…)

念話で今のことを説明する。

(今のところ…それしかないようやな)

(そうだね…)

二人は少し不満そうだったが納得してくれた。

だが、突然念話が切れる。
話している状態の時ではないにしろ、心配になって呼びかける。
しかし、すぐにそれは解除された。

(どうしたの!?何かあった?)

(ううん、何でもないよ)

(こっちも大丈夫やで)

また、だ。

言いようのないものが胸を締め付ける。

(ねぇ…二人とも…)

一つ区切る。それぞれに何?と言葉を返してくる。

(私達…親友だよね…?)

すぐに返ってきて欲しい返事は一瞬の沈黙を伴った。

(ごめん…変なこと聞いちゃって…)

《Zamber Form》

フェイトはバルディッシュを構える。魔力に気づいたのか触手がこちらに向かってきた。

(行くよ!!)

フェイトが木の間を通り抜けながら、敵に向かう。

「うぉおお!!」

二人に向かおうと伸びる触手を、フェイトが近場で切って行く。

いつも通りだ、大丈夫。

あと数秒もすれば、チャージ完了するだろう。

だが、

「なのは!?」

ふと後ろを振り返ると、なのはの姿が見えた。

木の上に出てって言ったはずなのに…。

触手が彼女の真下から伸びてくる。

「なのは!!一度上に上がって!!!」

「いい!!このまま行く!!!」

いつも無茶ばかりするなのはだが、これは無謀というものだ。

(はやて!!一旦チャージ止めて魔力抑えて!!)

なのはが止めない以上無理矢理こちらに意識を持ってこさせるしかない。

フェイトはカートリッジで自分が耐えられる限界の魔力を身体に溢れさせる。

「こっちだ!!」

本能のままに動いているなら、近いこちらにくるはずだ。


だが、止まらない。


もう一つの魔力の塊がまだ増え続けている。

はやて…!?

はやてが無理をするなんて…何で!?

「…くっ!!」

地面から突きだしてきた触手を追いかける。

一度こちらに惹かれたから、ギリギリで間に合うはずだ。

《Riot Blade》

両手にバルディッシュを持つ。

「なのは!!撃って!!!」

なのはの真下と、少し向こうにはやての方へ向かおうとする触手。

それを渾身の力を込めて断ち切った。

「スターライトォ…ブレイカー!!」

桃色の柱が、着弾する。

その直後に、空を見えなくするほど覆った葉を突き破り、白い光がそれを包んだ。


良かった……


私はそう思いながら、なのはとはやてを見上げた。


************


「…やったぁ!フェイトちゃん!!ねぇ…!?」

私のすぐ下にいたフェイトちゃんの姿が見えない。

「フェイトちゃん…!」

上から喜びを含んだ声で彼女の名を呼ぶその人が現れた。
私はそれに少し気を取られながらも、彼女の姿を探す。

「フェイト…ちゃん?」

木の根元で、俯いたまま座っている彼女の金色の髪が見えた。
嫌な予感がして、なのはとはやてはすぐさまそこに向かって急降下する。

「…!?」

言葉が出なかった。

胸元を真っ赤に染めた彼女はゆっくり私達の方を見た。

「だいじょ…ぶ…?」

慌てて抱き起こして、止血しようとバリアジャケットを破く。

「大丈夫やから!!何で…こんなこと…?」

「二人とも…もう…友達じゃ…ない、の?」

「…え?」

別の返答に違う意味で驚きながらも、なのはとはやては笑った。

「そんなことないよ!!だからもう喋らないで!!」

血が止まらない。むしろ流れ出る一方だ。

「なんで…隠すの?なに、を…かくし…て…?」

フェイトが咳き込む。二人の顔に血が飛んだ。

「ふたり…とも……むちゃ…しちゃ、だ、ゴホッ…。だめ…だ…よ」

「フェイトちゃん!お願い…そんな……!!」

もう、輪郭も分からなくなってしまった彼女たちが、泣いているのだけは分かった。

でも、もう口が開かない。声が出せない。

重くなる瞼に耐えきれず、フェイトはそのまま目を閉じた。

 

Fin.



三角関係、っていいよね。

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