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第十一章 謎解き
 
 
 
それから、
 
私達は何度も会うようになった。
 
私がそれを甘んじて受け入れていることを、彼女は不思議に思っているらしい。私も最初は分からなかった。でも、もう知ってしまった。これをなんて呼ぶか。この気持ちをなんというか。
 
でも、誰にも言えるわけがない。
 
今日も彼女が来て、私の血を吸った。
それでも快楽に慣れることはない。そして、彼女に慣れることもなかった。
 
彼女が首筋から唇を離した。
 
「…気持ちよかったの?」
 
「そんあっ…こと……!!」
 
口が回らない。むしろその言葉が肯定してしまっているようで、顔が熱くなった。
 
「そうかな…?」
 
口角を上げて、彼女は服の上から私の胸を揉み始めた。
 
「んっ…!?」
 
気持ちよさと驚きが一度に来る。
 
「何をっ…!?」
 
「ん?身体が熱いなら冷ましてあげようと思って…」
 
そう言いながら右手を下半身へ伸ばす。
 
「い、嫌っ…!!やめ、てぇ……!!」
 
知識では知っているが、こんないきなり実践が来るとは思わなかった。彼女の肩を強く叩くが、彼女は知らんぷりをしてそのまま私の下着の中に手を入れる。
 
「…濡れてるよ?」
 
「ち、違っ…!!」
 
「何が違うの?」
 
可愛い様子のなのはに楽しくなってしまって、フェイトは意地悪にもそう言う。
 
だが、なのはは涙を流して泣いていた。
 
急激に頭が冷える。
 
彼女が…なのはが泣くと胸が苦しい…。
 
「いや…」
 
彼女がおずおずと背に腕を回してきた。
 
「何で…嫌なの?」
 
「好き…」
 
彼女の言った意味が理解できない。
 
「好き……」
 
再度同じ言葉が繰り返された。
 
「誰が…?」
 
平静を装ったが、声がひっくり返りそうになった。
 
「あなたが…好き…だから…」
 
「好きなら…いいんじゃないの?」
 
「好きだから…嫌、なの…」
 
私は焦りを隠すように笑った。
 
「愛されていないから…とでも言うの?」
 
彼女はそれに、頷いた。
 
私は彼女の上から、バネがついたオモチャのように跳ね上がった。
 
「行かない…で…」
 
急いで帰ろうとするが、彼女の声が私をその場に縛り付けた。
鈍い動きで立ち上がり、こちらに向かってくる彼女。
私はゆっくりと振り向いてその様子を見ていた。そのまま私の胸の中に飛び込んでくる。
 
不意に、唇に温かいものが触れた。
 
私は驚きを隠せずに、彼女の肩をつかんで引き離す。
 
「じゃあね…」
 
俯いたまま一言いうのがやっとだった。私はそのまま飛び立った。
 
 
自分の館に戻ってからすぐに、私は自分の部屋に引きこもった。
彼女が言った言葉。行動。全てが繋がったような気がした。
それと同時に、自分の行動も……。
 
いや、そんな訳ない。だって…私と彼女は……
 
そっと、自分の唇をなぞる。
 
 
そこはまだ、彼女の温もりを覚えていた。
 
 
 
続く
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