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第十六章 敵対
 
 
 
『なのはさん…!!』
 
私が前線に立ってバンパイア達を殲滅しているとき、ティアナから念話がきた。
 
『何かあった…!?』
 
彼女たちがいる場所にはそんなにバンパイアはいないはずだ。この前線でほぼ足止めしているのだから。
 
『ソールが…いました!!』
 
心臓が跳ね上がった。先程教会の入り口で倒れていたはやてを介抱したときに言われて、彼女がいることは知っていた。
 
いて欲しくなかった。だって…私は……。
 
『今、そっちに行くから!出来るだけ時間稼ぎして!!』
 
捕まえろなんてことは言わない。はやてを軽くいなしたのだから、相当強い。四人には荷が重すぎる。
 
『はい!!』
 
会って話さなくちゃ…。聞きたいことが、まだ一つも聞けていない。
 
寂しそうな横顔も、悲しそうな微笑みも。
 
全部話して欲しい。全部受け止めたい。
 
ただのエゴかもしれない。
 
そんなことはよく分かっている。
 
でも…、それでも…。
 
「行くよ!!レイジングハート!!」
 
《All right》
 
「エクシード、ドライブ!!」
 
《Ignition》
 
「ディバイン…バスター!!!」
 
 
***********
 
 
「な、んで…こんな…?」
 
強すぎる。それ以外になかった。
 
四人でかかっても全く刃が立たない。こちらはもうボロボロだというのに、彼女は服に汚れ一つ付いていなかった。
 
「私を倒すなんて…まだ早かったでしょう?」
 
だが、致命傷はない。魔法も非殺傷設定だ。だが、こちらの聖力も気も無いに等しい。
 
「まだ戦場に出るのは早いね。そんなんじゃ、すぐに殺されるよ。だから早く第六教会に戻りな?」
 
「だ、誰が…!!」
 
ティアナは疲れて動かない足で懸命に立った。フェイトはそれを冷たい視線で見つめる。
もうすぐなのはが来てくれる。それを思って三人も立ち上がった。
フェイトはため息を吐くと、左手に魔力を集め始める。環状魔法陣がいくつも生成される。
 
「それじゃ…しょうがない……」
 
ティアナ達にその手を向けた。
 
「プラズマ…スマッシャー…!!」
 
避けられるわけがない。だが、
 
《ProtectionEX》
 
瞑った目を開くと、そこにはいつもの後ろ姿があった。
 
「なのは…さん」
 
スバルは呼びかけた。その人は振り返り、四人に向かって笑顔を見せた。
 
「よく頑張ったね!」
 
また向き直り、なのははやっとその人と対峙した。
 
「…ソール」
 
最近呼ばなくなった名前で、彼女を呼ぶ。
彼女は初めて会ったときのような冷たい瞳で私を見ていた。
 
「残念だよ…なのは…。君たちがここにいるなんて」
 
「ソールこそ!!何で…何でここにいるの!?」
 
彼女が微笑む。その笑顔にはこの間のような温かさはなかった。
 
「私は…母さんの為に封印所の場所を探していた。それだけだよ」
 
「それじゃ…戦う必要なんか無いじゃない!!」
 
目が悲しみに揺らめいた。
 
「母さんが…そうしろって言った。だから、私は……」
 
「違う!!」
 
そんな言葉が聞きたいんじゃない。だって、彼女の瞳は翳ったままだ。
 
「私は、ソールがどうしたいか聞いているの!!ソールの気持ちを!!」
 
お願いだから
 
心を開いて
 
「私は……」
 
彼女が顔を伏せた。
 
フェイトが口を開いたその瞬間、なのはに向かって魔力の塊が向かってきた。
なのはが避ける。広がった二人の間に、茶色の長髪を一つに縛った少女が割り込んできた。
それにより、開いた口からは別の言葉が紡がれる。
 
「ディエチ…」
 
「ソールお嬢様…何をしていらっしゃるのですか?」
 
「遊んでいただけだよ……」
 
「それなら…私も交ぜてもらえないでしょうか?流石にこの人数を捌ききるのは…」
 
「いらない!!私を馬鹿にしているのか!?」
 
正直とても焦った。ディエチが言ったことは事実だ。多分、なのはの相手だけで精一杯だろう。
ディエチがフェイトを無表情で見た。
 
「残念ながら…私はこちらを手伝ってくるように言われたのです。何もせずに戻るわけにはいきません……」
 
そう言って前に出た。フェイトは不満そうにそれを眺めた。
 
「……分かった、その四人の方をお願いする。でも、殺さないで生け捕りにして」
 
「……はい」
 
フェイトが空に飛び上がる。それをなのはが追う。
 
「ソール!!」
 
呼びかけに応じたのか、フェイトが急停止した。
なのははゆっくりフェイトに近づく。
 
「ソール…?」
 
フェイトはゆっくり振り向いた。俯いた顔からは何も伺えない
 
「何…?」
 
「ソールの…フェイトの気持ち…まだ一回も、何も聞いてない」
 
「言って…それでどうするの?」
 
「話し合わなきゃ…何も分からないよ!!」
 
「なのは……」
 
フェイトがゆっくり顔を上げた。彼女の中の葛藤が表情に良く出ていた。
 
「私は…なのはと…戦いたく、ない……」
 
ギュッと握られた拳に、なのははそっと触れ、それをゆっくり解いた。
まるで心を解すように。
 
「私は……なのはが…!!」
 
ドォオオオオン
 
巨大な雷が落ちた音に、その声はかき消された。フェイトはそれを聞いて、怯えるように瞳を揺らした。
 
「かあ…さん…?」



続く
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