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なつ静時代劇風パラレル



************



第二章 ナガナガシヨヲ

1.

数日後、なつきの怪我はほぼ完治していた。

「綺麗な肌に傷が残らんですみそうやなぁ」

静留は傷口に包帯を巻きながら言った。なつきは黙ってそれが終わるのを待っていた。

初めはすぐに出て行くつもりだった。が、なつきは何故か出て行けなかった。静留がずっと傍にいたから、だけでは不十分である。何かが、なつきの心をここに引きとめた。性分からして、なつきはそういう正体不明の感情が何なのか、知らずにはいれなかったので、とりあえず怪我が治るまでここにいることにしたのだ。
静留は相変わらず手を焼いてくる。包帯ももういいと言っているのに半ば無理矢理させられていた。しかも静留の手で。
全く、強情なヤツだ。
と、なつきはそう思った。
しかし、静留が嬉しそうに作業をする姿を見て、まあ悪くはないとも思った。

「どうしたん?」

黙り込んでいるなつきを見て、静留は不思議そうに言った。

「…なんでもない」

いつも通りのぶっきらぼうな言い方に静留は苦笑した

「…はい、終わりましたえ」

そう言うと、なつきは服を着て障子を開け、庭へ出た。そしていつも通りに木刀で素振りを始めた。傷口が塞がっていない内はやめてくれていたのだが、身体が鈍る、暇だ、と勝手に始めてしまっていた。とりあえず、この部屋と庭以外には出ないようにということは守ってくれているので、少し心配だが、静留はそれを見守っていた。自分のわがままでこんなところに閉じ込めているのだから、なつきの言う事も聞いてあげたかった。
それに、なつきが木刀を振るう姿が好きだった。汗が少し額に滲んでいて、それが余計に格好良さを増長させていた。静留はいつもその姿を眺めていた。

まだ日は高い。昼食を取ったばかりなのだから、当然といえば当然だ。今日は三寒四温の温の方らしく、頬を撫でる風は心地良く、お昼寝には最適なお日柄だった。

しばらくすると、女中がお茶を持って来た。それを受け取ってまたなつきの方を見るが、なつきは全く気づかずに素振りを繰り返していた。声をかけようとするが、こんなに集中しているのだからと、声をかけ辛くなってしまった。でも、それではお茶も冷めてしまうし、さすがにここまで構ってもらえないのはつまらない。
静留は少し悪戯心が働いて、静留は音を立てないように庭に出て、後ろから近づいた。射程内に入ると、

「えい♪」

と可愛い声を出してなつきに抱きついた。

「どわぁぁっ!!」

素っ頓狂な声を上げて、なつきは木刀を取り落とした。すぐに振り払おうとするが、静留は余計に擦り寄ってきた。

「ななな何だ!!いつも邪魔するなと言ってるだろう!!!」

なつきは肩口に擦り寄ってくる静留に大声を上げた。だが、

「なつき、やらこいなぁ。気持ちええ♪」

そんな言葉は聞いちゃいない静留だった。

「お前、人の話を聞いてるのかっ!?早く離せっ!!」

「嫌や~♪」

静留はさらになつきに抱きついた。なつきは顔を真っ赤にしながら思い切り振り払った。

「あんっ、いけずぅ」

「何がいけずだ!邪魔をするなっ!!」

思い切り怒鳴られて、静留はしゅんと頭を垂れた。

「……そんなに怒らんでも…」

少し涙目で上目遣いなんかされてしまったら、怒るに怒れなくなってしまう。なつきはまた違う意味で慌てた。

「そ、そんなに落ち込まなくたっていいじゃないか…!」

「そやかて…うち、なつきに嫌われたら…死んでしまうわ」

言っている本人は大真面目であるが、なつきが気づくはずも無い。だが、わざとらしく目元に手を宛がっている姿にすっかり騙されてしまい、なつきは心配そうに静留の顔を覗きこんだ。

「……何で抱きついたりしたんだ?」

「………なつきがかまってくれへんのやもん」

「はっ?」

「かまって欲しいって……お前いくつだ?」

「18どす」

即答。しかも万人が惚れてしまいそうな笑顔付きだった。

「ふざけるなっ!何がかまって欲しいだ!」

「やかて、寂しいもんは寂しいんやもん」

なつきは肩を落として、静留に背を向けた。

「……全く、何をして欲しいんだ?」

「ん~と……何やろなぁ?」

手を顎に添えて考えるように上を向いて言った。

「お~ま~え~」

なつきはゆっくり振り返った。

「とりあえず…」

「とりあえず?」

今度はなつきが繰り返した。

「名前で呼んで♪」

なつきはもう呆れ顔だった。

「だってさっきからお前お前って…夫婦やったらそれもありかもしれまへんけど…いや、でも名前で呼んで欲しいなぁ♪」

静留は少し顔を赤らめ、夢見る少女のような顔をしていた。

「お前…」

なつきは右手で頭を抱えた。

「ほら、またお前って呼ばはったぁ」

「はぁ…」

「呼・ん・で♪」

なつきはまた顔を赤くして、静留の顔を見ずに言った。

「し、静留…」

その小さい声にも嬉しくなって、

「な~つ~き~♪」

という言葉と共に静留はまた抱きついた。

「だぁ~からっ!」

二人の楽しそうにじゃれ合う声が、屋敷の奥から空へと響いていった。


2.

「ほな、おやすみ、なつき」

「おやすみ…静留」

なつきは座って俯いたまま言った。いつもの様に襖が閉まり、小さな足音が段々と遠ざかっていった。
今日、ここを出よう。
なつきはそう決めていた。今までで一番長居してしまったかもしれない。流石にこれ以上居ると、ここも危険になるかもしれない。自分の事で人が傷つくのは嫌だ。……静留が傷つくのは嫌だった。

静留が出て行ってから数時間後、なつきは身支度を始めた。寝巻きから、着てきた袴に着替え、刀を腰に携える。そして、布団を綺麗に敷き戻した。障子をゆっくりと開けて、庭を見た。いつもここは静かだが、昼とはまた違った静けさに少し身震いした。空は澄んでいて、星と満月がぽっかりと浮かんでいた。なつきは庭に出て、先程居た部屋を見た。

「短い間だったが……今までで一番楽しかったぞ」

そちらに向かって、誰にともなく、聞こえないような声で言った。
背を向けて去ろうとした。

その時、


「何処へ……行かはりますん?」


いつも聞いていた、でも今居ないはずの人の声が聞こえた。
なつきは驚いてバッと振り返った。そこには、寝巻きに一枚羽織を羽織っただけの静留が立っていた。

「何だ……お前か…」

なつきは自嘲するような笑みを浮かべて、視線を逸らした。

「……何処へ行かはりますん?」

同じ言葉を繰り返して、静留はなつきに近づいた。すぐに距離は縮まるはずだったが、

「来るな!!」

なつきの声にビクッと肩を竦め、静留は足を止めた。

「…もうお遊びはおしまいだ…。静留、礼をいうぞ。ありがとうな」

なつきは静留の方を見た。静留は置いてきぼりにされた子どものような眼差しで、涙を浮かべていたが、それを隠すように俯いた。

「………そんな言葉、いらへん…」

くぐもった震える声。なつきの胸に何かが刺さった。

「いらへんから、一緒におって…!!」

「ごめんな、静留」

そう言って、なつきは静留に背を向けた。

「待って…!」

静留はなつきの腰に手を回し、縋るように抱きついた。

「嫌や……」

しがみつく力が段々強くなってくる。なつきは背に濡れた感触を感じた。

「嫌や…、嫌や…!嫌やぁ!!」

「静留……」

背に押し付けられている顔から震えが伝わってくる。

「お願いや……。傍におって。うち…なつきを守るさかい…」

「……お前にこれ以上迷惑かけたくないんだ」

「迷惑やなんて思ったことあらしません。うち…なつきのこと好きやから……やから…!もう少しだけ傍におって!!」

間髪いれずに言われた言葉。
ふと、頬に生暖かい感触。なつきは不思議に思って手を頬に持っていく。


……………涙?


なつきは自嘲気味な笑みを零して空を見上げた。
冷たいはずの風は、何故か暖かく感じた。
静留が回している腕を、なつきはゆっくりと外した。向き合うと、静留は俯いたまま、もう何も言わなかった。
羽織の端をギュッと掴み、嗚咽も漏らさずに涙を流している姿を見て、なつきは不謹慎にもとても可愛いと思ってしまった。

「分かった……」

静留の身体が硬直する。恐る恐る顔をあげると、なつきの笑顔が、そこにあった。なつきは静留の存在を確かめるかのように正面から抱きしめた。静留はまだ何が起こっているか分からないようで涙で顔を濡らしたまま、キョトンとしてなつきを見た。

「分かった。……一緒にいるから…もう泣くな。お前が泣くと…私も悲しい」

「な…つき……?」

静留はなつきに力いっぱい抱きついた。

「…ほんまに?」

「ああ」

「ほんまにほんま?」

「嘘を吐くくらいなら、お前には少し眠ってもらって出て行くさ」

「物騒やなぁ」

静留はまだ少し強張ったままの顔でなつきに微笑んだ。なつきもまた微笑み返す。
ふと、辺りが更に暗くなる。それに気づいてなつきは空を見上げると、満月が雲に覆われてしまった。

「なぁ、なつき。ちょうこっち見て」

なつきは言われたとおりに静留を見た。すると、唇に柔らかい感触。それが何かも分からないまま、すぐにそれはなくなった。残ったのは暖かい温もりだった。

「なななななな、何を!!!」

やっと何をされたかが分かって、なつきは周りがほぼ真っ暗なのにもかかわらず、それが分かるくらい真っ赤になっていた。

「ん~、なつきがいてくれはるのが嬉しいんやもん。やから♪」

「そんなのは理由にならん!!」

「せやったらどんなんならええの?」

「そ、それは…」

言葉に詰まるなつき。それを見て、静留はクスッと笑った。

「やっぱりなつきは可愛ええなぁ」

なつきは拗ねたように向こうを向いて、身を翻した。

「部屋に…戻るぞ」

「はい♪」

そう言って戻っていくなつきの背中には、また月の光が射していた。



続く

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