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24話のホームラン回を格好良くしたつもり。…つもり。

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第十九章 戦い ――雷――
 
 
 
「洒落にならん量やな…」
 
はやては空の向こうの無数の黒い粒を見て、ため息をついた。
このままでは、10年前と同じ事の繰り返しだ。
 
「大丈夫だよ…この戦いの元凶は一人だから…」
 
スカリエッティ。あいつを倒せば、統率は一気になくなる。
あのホムンクルス達――ナンバーズ――も、きっと戦いをやめるはずだ。
 
「本当に無理しないでね…」
 
「……うん。なのはもね」
 
三人はそれぞれバリアジャケットを展開し、前線で待ちかまえた。
ヴィータとシグナム達は別の場所ですでに戦い始めている。
こちらにも沢山のスレイブやガジェットがやってきた。
 
「ディバイン、バスター!!!」
 
なのはが大部分を蹴散らす。
 
《Zamber Form》
 
当たりきらなかった部分を私が突っ込んで切っていく。
その間に、
 
「来よ、白銀の風、天よりそそぐ矢羽となれ…フレースヴェルグ!!」
 
はやてがチャージし、砲撃を放つ。
これが初めての連携とは思えないほど凄まじい。
 
だが、それでも数は減るどころか増える一方だった。
 
「ガジェットの数が…多すぎるね……」
 
スレイブだけなら、増えることはない。
 
「せやな…どうにかしてもとを断たへんと…」
 
少し息を切らし気味になっている二人。
それはそうだ。もう何発砲撃を撃ったか分からない。しかもなのははエクシードモード。消耗が早い。
これ以上の長期戦は…。
 
私は一度バルディッシュをアサルトモードに戻した。
 
「フェイト…?」
 
「私が…群れの中に突っ込んで、ガジェットの出元を潰してスカリエッティを探す。だから、二人はなるべく体力温存して」
 
「そ、そんなのあかんやろ!危険過ぎや!!」
 
私は振り返って笑った。
 
「私を信じて…?」
 
はやてはそれを見てため息をつき、なのはは少し心配そうに笑った。
 
「このままやったらいつまでも終わらへんやろしな…しゃあないか…。無茶せえへんといてな」
 
「…絶対無事で帰ってきてよね…!!」
 
「うん…!!」
 
私は力強く頷くをすると、教会に張られた結界の外の敵の本陣へ向かっていった。
 
 
***********
 
 
「ぐあああああああああ!!!!」
 
「ハーケンセイバー!!」
 
スレイブもろとも無数のガジェット達も破壊していく。
意志のないスレイブ達は、吸血鬼の血に自我を食われているのだろう。
思い切って突っ込んだのは良いが、数が多すぎて一行に前に進めそうにない状態だ。
 
「ソニックムーブで突っ込んだ方が早いかな?」
 
でもそれでは、スカリエッティを探すことが出来ない。
 
《Is used W.A.S?》
 
バルディッシュが珍しく提案してくる。
 
「バルディッシュは大丈夫?」
 
二つのことを制御するのは大変だろう。
 
《No problem》
 
「分かった…。それじゃあ、行くよ……」
 
《Yes sir. W.A.S. Full Driving》
 
魔力で出来た百以上の球体を、四方八方に飛ばした。
そして自分は、
 
《Sonic move》
 
一筋の光となって、更に奥へと進んだ。
数分もかからずに、ガジェットの出口と思われる洞窟を見つけた。どうやら、出ているのはここだけらしい。
 
私は周りの敵を打ち落とし、無数のフォトンスフィアを形成した。
 
「フォトンランサー・ファランクスシフト……」
 
ガジェットが再び入り口から出てくる。これ以上増やすわけにはいかない…。
 
「打ち砕け!!ファイア!!!」
 
奥まで到達させると、機械が爆発した衝撃で連鎖的に壊れたのか、激しい地響きと共に洞窟ごと崩れた。
 
「よし…!!」
 
これで、もう敵が増えることはない。
 
「フェイトお嬢様……」
 
警戒して距離を取りながら振り向く。
 
「誰だ!?」
 
そこには見慣れた顔が二人。
 
「トーレ…、セッテ……」
 
《W.A.S. successful》
 
丁度バルディッシュがスカリエッティを見つけたらしい。
 
「…良い子だ」
 
場所は分かった。でも、この場を乗り切らなければ…。
 
「あなたは、私達を裏切ったと思ってよろしいでしょうか?」
 
「……君たちも…スカリエッティの命令がなければ、こんな風に動いてなかったんじゃないの?」
 
話し合う。
 
彼女が教えてくれたことだ。
 
「こんな戦いは不毛だ!!…人間と、バンパイアと、スレイブだって。対等に生きていくことは可能だ!!」
 
「…そんなことはどうでもいいことです」
 
トーレがISを構えながら答える。
 
「私達はドクターの夢をかなえたいだけですから」
 
「それじゃ…そのマスターがいなくなったとしたら…?」
 
フェイトの魔力が飛躍的に高まった。
二人が怯んで後ずさる。それを見て、私は空へ飛び上がった。
 
「に、逃がすか…!!」
 
すぐに彼女たちは追いかけてくる。
フェイトはスカリエッティの方へと向かう。その場所からはそれほど遠くない高台に、彼は立っていた。
 
「おや、フェイトくん。どうしたんだい?こんなところで」
 
スカリエッティはフェイトに向かって、いつもの嫌悪感しか抱けないような笑みを浮かべた。
 
「今すぐこんなことをやめさせろ…って言っても無駄なんだろうな…」
 
《Zamber Form》
 
フェイトはスカリエッティを睨みながら、バルディッシュを構えた。
 
「ああ、それはそうだよ。人間は邪魔なんだ。まあ、我々の良いなりになってくれるというのなら話は別だが」
 
スカリエッティの右手に組み込まれているデバイスをいやらしくくねらせた。
それに反応して、地面から赤い魔力糸が何本も突き出てきた。
 
「くっ…!!」
 
その糸から飛んで逃れる。そのうちに、先程の二人も私に追いついてしまっていた。
 
「三対一か…」
 
でも、ここに逃げるという戦法はない。
 
「フェイトお嬢様でも、ドクターの夢を妨害するなら…容赦しません!!」
 
「する必要ないよ…。されたらつまんなくなるからね。…バルデュッシュ、ライオット」
 
《Riot Blade》
 
バルディッシュが変形し、細身の片刃になる。
 
「おいで…遊んであげるよ」
 
「うおおおお!!」
 
セッテが手に持っていたブーメランブレードの片方をフェイトに向かって投げた。
フェイトはそれをバルディッシュではじき飛ばし、
 
《Sonic move》
 
一気に距離を詰める。その早さに対処できず、もう一方のブーメランブレードでフェイトが振り下ろしたバルディッシュを受け止める。だが、力を受け止めきれず、刀身が折れ、バランスを崩した。
 
「ライドインパルス!!」
 
後ろを振り向くと、自分と互角くらいのスピードでトーレが迫ってきた。
フェイトは咄嗟にライオットブレードの片方を切り離し、左から右へ背中に回した。そのまま回した片方を右手で持つ。
振り返りざまに、左の刀を追撃しようとするセッテの腹部に峰打ちで当てて吹き飛ばした。
そして、向かってきたトーレのインパルスブレードを右で受け止める。
だが、無理な体勢のため、フェイトははじき飛ばされてしまった。
地面を転がり、大木に身体をぶつけた。
 
「ぐあっ…!!」
 
一瞬胃液が食道を逆流しそうになるが、耐えて立ち上がる。
 
「セッテ!大丈夫か!?」
 
二人を見ると、セッテは完全に気絶しているらしい。
 
「これで…一人か……」
 
フェイトはその木にもたれ掛かる。
 
「この…!!」
 
頭に血が上ったのか攻撃が直線的になる。フェイトはバルディッシュを構えた。だが、
 
「さっき…三対一と自分で言わなかったかな?」
 
左足に痛みが走る。見ると、数本の魔力糸が太ももとふくらはぎを突き刺していた。
痛みを堪えて急いで切り離し、横に跳ぶ。
それでも一つテンポが遅れて、腹部を思い切り深く切られた。
赤い血飛沫があがる。
再び地面に転がった。だが、今度は立つことが出来ず、近くの木に寄りかかる。
傷の焼かれたような痛みが身体の機能を貪っている。
 
「銀…?」
 
銀でしか見られない反応だ。
 
「私の娘達はね、対バンパイアようにも出来ているのさ…」
 
彼が楽しそうに私に近づき、見下ろした。
再び手がうねり、私は抵抗も出来ずに木に縛り付けられた。
 
「残念だ…。非常に残念だよ。君のようなすばらしい完成体を失うのは…」
 
彼の手には、ホワイトアッシュの杭。
 
 
でも…あの娘の前からいなくなるわけには…
 
…死ぬわけには、いかない
 
 
私は魔力を振り絞って、油断して動きを止めたトーレの足にバインドをかけた。
 
「…プラズマランサー!!」
 
四方から計四発のプラズマランサーを撃った。
トーレは叫び声を上げて倒れる。
 
「これで…一対一だな……」
 
スカリエッティの顔には恐怖が浮かんでいた。
 
「う、うわああああ!!」
 
彼は急いで私の胸に杭を打とうとするが、高速戦を極めた私にとってはハエが留まるスピードだ。
 
《Riot Zamber》
 
私はライオットザンバーを両手で持ち、自分を拘束している糸ごと、左下から右上へ薙ぐように彼を切り裂いた。
血をまき散らしながら真っ二つになって倒れ、砂となって崩れていく彼を見て、私はやっと息をついた。
バルディッシュをアサルトモードに戻し、省魔力状態にするため、マントを切り離す。
 
『なのは…こっちは終わったから…今戻るね…』
 
『う…ん……。…大丈夫?フェイト』
 
『うん…なのはこそ…大丈夫?』
 
念話の調子が悪い。それほど自分は力を消耗しているだろうか?
 
『にゃはは、大丈夫だよ?ゆっくり戻ってきて良いから』
 
『うん……』
 
違和感を覚えながら念話を切り、立ち上がる。
銀の所為で傷口の治りが遅く、血が滴った。周りを見回すと、敵のスレイブ達は全く見えなかった。
見て取れるのは気絶した二人だけだ。
 
私は念話で連絡し、エクソシスト達にそこを頼んで、なのは達の方へと飛んだ。



続く
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