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何か気絶してから章が始まるの多いなぁ

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第二十二章 終わり
 
 
 
「ん…?」
 
誰かに肩を揺らされて、なのはは目を開けた。
いつの間に気を失っていたのだろう。
 
「なのはちゃん…!!」
 
「ん、はやてちゃん…?」
 
呼びかけに答えると、ホッとしたように表情を緩めた。
 
「良かったぁ…」
 
そういえば…ここは…。
 
「なんや、大丈夫か?」
 
もう一度聞こえたはやてちゃんの声を聞いて、完全に今どんな状況なのかを思い出した。
 
「ここは…!!」
 
私は辺りを見回した。
 
「大丈夫」
 
何とかな、と空を見上げる彼女につられて、私も仰ぐ。
 
自分たちの周りには結界が張ってあり、空では金色の髪が舞っていた。
 
「はやてちゃん!!私達も早く手伝いに…!!」
 
「大丈夫だよ」
 
結界の外から、別の声が聞こえた。
驚いて振り向くと、彼女にそっくりの少女が立っていた。
 
「今、交渉しているだけだから」
 
「交渉?」
 
「勝利宣言とでもいうべきかな?」
 
私が意識を失ってから、何があったのか。
そういえば、もう一つパーツが足りない。
 
「プレシアさんは…!?」
 
それを聞いて、アリシアは一度なのはを横目で見て、再び視線を上に戻した。
 
「フェイトが…倒したよ…」
 
「…え?」
 
「さすがダンピール。純粋なバンパイアを術式無しで滅せられるなんて…」
 
「なんで…?」
 
「何でって…あなたも見ていたでしょう?私達を助ける為だよ」
 
なのはは地面の土をえぐるように拳を握って俯いた。
 
「でも…」
 
そんな様子のなのはにため息をついて、アリシアはもう一つ続けた。
 
「フェイトの所為じゃないよ…」
 
何を言っているのか、分からない。
 
どういう意味か問いただそうとしたとき、
 
「なのは!!」
 
フェイトが上空から戻ってきた。
 
なのはは腹部や足から滴る血を見て、慌ててフェイトの下に駆け寄った。
 
「フェイト!!」
 
「なのは…?」
 
血相を変えて向かってきた私を不思議そうに見つめていた。
 
「こんな酷い怪我…!!無茶しちゃ駄目って言ったじゃない!!」
 
「なのは…大丈夫?」
 
私がバリアジャケットを破ろうと伸ばした手を逆に取られて、そう言われた。
よく見ると、私の腕には包帯が巻かれていた。
 
「うん。大丈夫だよ…」
 
痛みもそんなにあるわけではない。
 
「良かった…」
 
彼女はそう囁くような小さい声で言って、崩れ落ちた。
 
「フェイト!」
 
私は何とかその身体を支える。
はやてちゃんとアリシアちゃんの足音が後ろから聞こえた。
 
「二人も無事だね……」
 
「私らは大丈夫やから…とりあえずフェイトの傷の手当てを…」
 
「銀で受けた傷だから…血はそう簡単に止まらないよ……」
 
「でも、一応医療班が来るまで…」
 
なのはは常備していた包帯を巻き付ける。
 
「なのは……」
 
「どうしたの?」
 
「良かったの…かな…?」
 
言わんとしていることは分かった。でも、何て答えればいいのか分からない。
 
「……母さんは、わざと私に殺されたんだ…」
 
フェイトはポツリとそう言った。
 
「きっと…母さんのバンパイアの誇りを…捨てられなかったんだね……」
 
プレシアは、わざとアリシアとなのはを襲い、自分を殺させるように仕向けた。
アリシアが人間側について、プレシアがバンパイアとして生きたなら、アリシア自身にも風当たりが強くなる。だからと言って、人間に降伏するのはきっと今までの自分を否定することだと思ったのだろう。
 
「フェイトは…悪くない!!」
 
なのはは突然叫んだ。自分でも何が言いたいのか分からない。
でも、フェイトが自分を責めているような気がしたのだ。
 
「私は…後悔してないよ?」
 
そんななのはの頬を片手で包んだ。
 
「だからなのはも気にしなくていい」
 
「でも…!」
 
「大丈夫だから…」
 
フェイトはそのまま手を後ろに回し、なのはの頭を抱き寄せた。
 
私が泣くべきじゃないのに…。
 
必死に堪えようとしても、勝手に涙は溢れてきた。
 
「ごめんね…!本当に…、ごめっ!!」
 
「何で…謝るの?」
 
「だって…!!」
 
「私は…これで正しいと、思ってるよ……。少し母さんの気持ちに気づくのが遅かったけどね」
 
だからと言って、止められはしなかったのだけれど…、と続ける彼女の顔は本当に清々しかった。
 
「フェイト…」
 
何で彼女はこんなに強いのだろう。
いつか私も…こんな風に強くなれれば……
 
「大丈夫……だか、ら……」
 
不安に思っていると思ったのか、フェイトはまた安心させるように呟く。
だが、急に途切れ始めた言葉を聞いて、なのははフェイトの顔を覗いた。
 
「なの、………に…だいじょ……、……ら……」
 
「フェイト!!」
 
その状態のまま逆に私に身体を預けて、彼女は意識を手放した。



続く
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