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間に合ったようです。

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目的地、スプールスまであと半分を過ぎた。
今日も平和。敵艦どころか、生命体さえも見つからない。

まるで、嵐の前の静けさのように。

 

「参りました……」

素直に頭を下げる。
すると、息遣いも荒げに肩を上下させていた彼女が、そのまま寝転がった。

「やったぁ!」

「ちょ、ちょっとなのは!?」

こんなところで寝っ転がったら汚いよ?と言おうとするが、あまりにも朗笑しているので、そんなことを言うのは躊躇われた。

「あんな砲撃、撃たれたらたまらないと思うよ」

今日はなのはの訓練に付き合った。
更に威力をつけるとかで、チャージ時間をより増やして、凝縮したとか言っていたが、私が最大出力で防御魔法を張っていなかったら、船に穴が開いたかもしれない。

「じゃあ、今度また敵が来たら…一緒に行っても良い?」

いつの間にか起き上がっていたなのはの表情は、真剣だった。
でも、それに首を縦に振るわけにはいかない。

「この間は急いでいたからね…。また来たとしても、同じ戦法が役立つほど、甘くはないよ」

「じゃあ!…フェイトちゃん…また一人で行くの?」

「飛べる人は、いないからね…。艦内からの応戦はしてもらうけど……」

でも、それだけでもかなり心強いのだ。フェイトのような魔導師を、そう何人も保有している隊は少ない。

「嫌!」

我が侭とも言える否定に、フェイトの視線が一瞬冷たくなった。
なのははそれに肩を竦める。が、以前強い眼差しを放っていた。
その様子に、フェイトは一つ嘆息して、腰を上げた。

「じゃあ、私も本気を出すから、勝ってごらん?」

本当は体力を温存するべきなのだろうが、言って聞くほどなのはの信念はヤワではない。

隣にいたなのはも、似合わない好戦的な瞳でフェイトを見た。

「分かった!」

「バルディッシュ!」

Haken Form

金色の魔力が、黒い杖の先から弧を描いた。

「レイジングハート!」

Flash move

なのはは飛び上がり、距離を取るために桜色の羽根に魔力を込めた。

「なのはの砲撃は凄いよ…。でもね……」

フェイトが豆粒くらいに見える距離で、なのはは構えた。
軽く魔力を溜めて、一発。

「ディバイン…バスター!!」

フェイトに向かって、桜色の束が放たれる。
そして、貫く。

土煙でフェイトの周辺が見えなくなるが、一発で当たるはずがない。
ボール大の桜色の球体が、16個ほどなのはの周りを取り囲んだ。

ブンッ…と真後ろから何かが動く音。
なのはは意識を集中してその魔力弾を動かした。

「第一に、相手の動きを止めなきゃ当たらないよ」

真上!?と気づいたときには、

「ファイア」

フォトンランサーが放たれていた。

Protection

「きゃっ!」

思い切り吹き飛ばされるが、自動防御のおかげでなんとか当たらずにすんだ。
その勢いのまま、再び距離を取るために後方へ下がり続ける。
目はフェイトを捕らえたまま。

「第二に…」

Sonic move

「相手から距離を取れるほどのスピードがない」

一瞬で目の前に現れたフェイトになのはは小さな悲鳴をもらした。
フェイトはバルディッシュを振り上げ、下ろす。
なのははそれを受け止めようとレイジングハートを掲げるが、勢いもついているため、そのまま地面に叩き落とされた。

「っ!」

急いで立ち上がろうとするが、すでにバルディッシュの刃が、なのはの首元に当てられていた。

「私の勝ちだね?」

その声に、料峭を感じた。

「今日の訓練はお終いだよ」

バルディッシュを待機状態に戻すのを、なのはは呆然と見ていた。

ペタンと座り込んだまま、俯いて歯噛む。
悔しくてたまらなかった。

「ほら、なのは」

いつもと同じ優しい声が、何故か憎々しく思えた。
目の端に、彼女の手が映る。

なのははその手を取らずに立ち上がった。

「悔しいの?」

図星を指されて、更に悔しさが増す。

「大丈夫だよ。魔法は一日や二日で扱える物じゃない。ちゃんと練習すれば、もっと違う技も使えるようになるし、戦術だって、臨機応変に使えるようにあるから」



でも、それは今じゃない。


今すぐじゃないと、意味がない。

 

「なのは?」

ついてくる気配がないことに、フェイトが振り向いた。

直視できない。

なのはが視線を逸らすと、フェイトは困ったように笑って、なのはの頭を軽く撫でた。

我が侭を言いたい訳じゃない。
でも、フェイトの傍にいたい。
しかし、それはただの足手まといなのだ。

それが、悔しい。

矛盾する思いで、その場から動けなくなる。

「私は、ちゃんとなのはのもとに戻ってくる…」

包み込まれているような感覚が消え、優しい声が振ってくる。
紅い眼が、視線を合わせるように、跪いた。

「約束するよ」

何も出来ないのなら、信じて待っているしかないのだ。

それでも、いつか役に立てるように、しっかりしなくてはならない。

「…うんっ」

だから、なのははしっかりと頷く。

 


それはまるで、


騎士が、誓いを立てているようだった。





続く

この章は…意味があるのだろうか…?(ぇ

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