「ふぇいと…ちゃん……」
光を閉ざされて、どこか遠くに向けるようにそう呟く、私の大切な恋人。
うっすらと朱に染まった頬。
熱い吐息。
全てが私を興奮させる。
私を見上げて浮き上がる白い喉。
そこからはどんな鳴き声が聞けるのか。
考えただけで背筋に何かがはい上がってくる。
「なのは……」
私の声に反応して、ピクッとこちらを向く人のモノではない耳。
私はそれを戒めるように、手にしている冷たい鎖を強く引いた。
その鎖に繋がれた首輪も当然強く引っ張られ、膝立ちになって私の方へ近づいた。
後ろ手に縛られている所為で手をつくことも出来ず、膝をベッドのシーツを巻き込みながら引き摺って、バランスを取っている。
怯えるように震えて伏せられる獣の耳。
一文字にふさがれた口。
噛んでいるのか、唇が白くなっている。
「なのは、口開けて?」
申し訳程度に開かれる口。
私は首輪を掴んで更にこちらに引き寄せ、その口に自分の唾液を垂らす。
口の中の刺激に反応して、再び耳が立ち上がる。
「ほら、飲んで」
首輪を軽く引いて促す。
口が塞がり、白い喉が波打つ。
その動きが、興奮を重ねていく。
頭が茹だって、どうにかなりそうだった。
「なのは、ちゃんと全部飲めてないよ?」
幼子に言うように柔らかく優しく、でも、感情のこもっていない声色で話す。
なのはの口から垂れたそれを指先で辿っていく。
肩が揺れ、耳が震える。
「しょうがないなぁ…」
今の私の顔は、どんなに嗜虐的な笑みを浮かべているだろうか。
私は自分の唾液を自分の舌で舐め取っていく。
「ふっ、あっ…」
喉が振動して、音になる。
その音がもっと聞きたくて、私は鎖を今度は下に引き、鎖骨にまで舌を這わせた。
そのまま後ろに倒れないように、そっと頭に手を回し、ゆっくりと下ろしていく。
ベッドのスプリングが、軽く揺れた。
「やっ…ん……」
私はその声を聞いて、一度なのはから離れる。
ユラユラとなめらかに動く尻尾。
浅く息をついているうっすらと開いた唇。
私の理性を破壊するには十分過ぎるくらいだった。
「なのは…」
貪るように唇に食らいつき、性急にシャツを捲り上げる。
続けざま、掴みかかるようにまだ膨らみきっていない胸を揉み込んだ。
「ふぁっ!…やっ…!!」
連動するかのように耳がピクピクと動き、尻尾がピンと張り詰める。
焦らす余裕もなく、そのまま頂に吸い付き、もう片方は指で弄る。
「ふにゃっ!ひ、みゃあっ!!」
痛みを含んだ声。
しかし、今の私には催淫剤でしかない。
「なのは…、気持ちいい?」
「う…うぅっ…ふっ…!あっ…!」
答える余裕もないらしく、子供がするように嫌だと頭(かぶり)を振っている。
それを上目に見た私は、一度攻撃の手を緩め、手を腰や脇腹、下腹部に這わせた。
固くなった頂上に軽く吸い付き、舐めるとまた声があがった。
だが、それは先程と違う、甘い声。
「……気持ちいいんだね?」
「ち、ちがっ…!」
断定に近い問いかけに、毛を逆立て、顔を真っ赤にして否定しかけるが、すぐにサッと血の色が引く。
「そう?」
私は躊躇なく、なのはのショーツに手を突っ込み、そこを撫でる。
「ひゃっ、あっ…!!」
「なのはは嘘つきだね…?」
横に落ちていた鎖を取り、引っ張る。
「嘘つきさんにはお仕置きしなきゃ駄目だよね…?」
「やっ……!」
恐怖からか、喉が擦れたような声が出る。
しかし、完全に抵抗の術を奪われているなのはが、ここから逃げ出すことは出来ない。
私は一気にズボンとショーツを引き下げて、彼女の秘部を露わにした。
それでは飽きたらず、片方の膝の裏に手を入れて、大きく開かせる。
「ほら…すごい濡れてる……」
軽く指を入れ、掻き回す。
「ふぁあっ!!」
ビクンと身体が撓る。
「どうしたの?気持ちよくないんでしょ?」
「うぅ…」
暗闇に閉ざされている目からは、鈍い快楽しかもらえない苦しさから涙がこぼれ落ちているのだろう。
目尻の部分が濡れて色を変えていた。
「ふぇいと、ちゃん…んあっ!」
軽く入り口を撫でられて、また声を上げる。
「ん?」
返事をしながら耳の付け根を甘噛みした。
「にゃぁっ!!」
熱を持った吐息が、頬にかかる。
人の耳にはない触感。
内側を舐めると、またため息のような息が漏れた。
「………ねが、い……」
「何?」
聞こえないふりをして、もう一度尋ねる。
「うぅ…」
恥ずかしいのか、顔に血が上って赤くなっている。
そして、手の動きのもどかしさに耳を垂れた。
「ひゃぁんっ!」
秘唇の上にある蕾を軽く撫でると、一際高い声が出た。
「いじ…わる…っ!」
恨みがましげに言う怒気を含んだ声が、私の口元を歪ませる。
「意地悪じゃなくて、お仕置きだよ?」
クチュクチュという音を立てて、ひだの周りを掻き回す。
すると、逃れようと必死に身体を捩り始めた。
「逃げちゃ駄目だよ…?それとも、もっとお仕置きして欲しいのかな?」
そう言って、胸の頂を強く押し潰した。
「いっ…!!」
かなり痛かったのか、身体を固くしている。
「やっ!いやぁっ…!!」
暴れ出すなのはを自分の重さで押さえつけて、首筋に歯を立てた。
「いぁっ!!」
皮膚が破れ、生暖かい液体が口の中に広がった。
「痛いのは、嫌?」
よく聞き取れるはずのなのはの耳元で、小さく囁く。
「や、だぁ…!あぅっ!!」
傷口をなぞるように舐めると、また身体が揺れた。
鉄の味が、口内に広がる。
「じゃあ、ホントのこと言って?」
「…ホント…の?」
意味が分からないのではなく、これはただの確認だろう。
「そうだよ……なのはは、ホントはどうして欲しいの?」
「…」
尻尾をソワソワと動かし、軽く頭を上げて私の胸に擦りついた。
「ちゃんと…して、ください……お願いします……」
「何を?」
手を動かしながら、全てを言わせようと疑問で返す。
「…フェイトちゃん、が…弄ってるところにっ…もっと深く入れて…いっぱい…気持ちよく、してっ…ください……」
言葉を紡ぐ度に小さくなる声。恥ずかしくて死にそう、とか思ってるのかもしれない。
「うん…分かったよ…。ちゃんと言えたから、ご褒美だね」
シーツを汚すほど濡れてしまったそこに、グチョグチョに濡れた指を差し入れる。
奥まで届くくらいに。
「ふぁっ!ぁ…やぁあっ!」
天井を押し上げるように、指を曲げて突く。
可愛い嬌声が上がる。
「いいよ……一度…」
低く囁いて、胸の硬くしこった突起に吸い付く。
「あ、ああっ!ふぁあっ!!」
ビクンビクンと痙攣し、絶頂に上り詰めた。
「ふ…」
軽く深呼吸して、なのはは息を整えた。
「良かった?」
「……」
無言のまま、一つ頷く。
目は塞がれているのに、視線を逸らすところも可愛い。
「じゃあ、続きだね…」
そう言って、入ったままの指を動かし始める。
「ふぇっ!?あっ!」
媚声が、再び鼓膜を振動させる。
今更気がついたが、縛られた手が身体の下になって、少しばかり動きづらそうだった。
まだこのままにしておきたかったが、少しも抜け道がなかったら、足掻こうとはしないだろう。
一度手を止め、なのはの背の下に手を入れ、その戒めを解く。
なのはは、フゥッと少しは安心したように息を吐いた。
「なのは…」
完全に沸点を超えている頭の熱を冷ますには、その熱を何処かに流さなければいけない。
それなのに、そんな仕草も、私の温度をさらに上げてしまう。
「なのは…可愛いよ…」
軽く唇に口づけ、そのまま体中に透明に光る痕を作って、秘部まで舌を伸ばす。
「ふぅっ…あっ…!!」
容赦なく舌を動かし、指を突き入れる。
「いっ…あっ…!ああっ…!!ふぇ…とっ、ちゃっ!!」
引きはがそうと私の頭に手を添えるが、激しい快楽に髪に指を絡ませるだけだった。
いくら熱を冷まそうとしても、熱さは止まらない。
それどころか灼熱となって、自分をも包み込む。
「なのは…!」
花びらの上の小さな蕾を強く吸い、深く突き入れる。余った手は、尻尾の付け根を軽く握って。
「いっ…!やっぁっ!やぁああっ!!」
身体がシーツの上で波打つ。
だが、それは声と共に弛緩し、耳と尾もくたりと力をなくした。
自分も荒くなった息を整えて、ワイシャツのボタンを二つほど外す。
「なのは……」
目を覆っていた布も外すと、蒼い色の丸い瞳が、涙を湛えて気怠そうにこちらを見ていた。
「ふぇいと…ちゃ……」
手が伸ばされ、背中から肩に腕を回される。
そして、安堵のため息。
「だいすき……」
あれほど荒れ狂っていた波が、なのはの声で穏やかさを取り戻す。
私も片腕を回して、もう片方はそっと頭を抱えた。
「私も…愛してるよ……」
こんな風にしか熱を止められない私を大好きと言ってくれることが嬉しくて、私は抱きしめる腕に少し力を込めた。
終わってしまへ
エロ98、シリアス2を目指してみた(ぇ