「こちらの要求を飲めば、命だけは助けてやるが?」
「………こちらとて軍人の端くれ。全ては我が世界の繁栄の為に…!」
「そうか……では、やれ」
血飛沫が飛ぶ。
地面に、
服に、
空に、
赤が染まっていく。
そして、無数の叫び声。
狂気に満ちた声。
私はそれを、無表情に目に映していた。
契り
「流石ですね!!フェイト隊長」
「そんなことはないですよ」
謙遜などではなく、フェイトはそう答えた。
だが、一つ位の低い同僚は、満足そうに先程の光景を思い出していた。
「見ましたか!?さっきまであんな虚勢を張っていた敵軍の大佐が、死ぬ間際に見せたあの情けない顔!私だったら、絶対あんな風にはなりませんよ?」
「そうだね」
死ぬほどの目に遭っていなくてよくそんなことが言える、という言葉は返さない。
そんな事を返したってどうしようもないのだから。
全ては世界のせい。
そう思って諦めるしかない。
フェイトは、敵軍から奪った酒をちびりと呑んだ。
飲まなければやっていけそうになかった。
そしてまた、朝が来る。
いつもと同じように、人を殺し、敵軍を倒し、時空(うみ)を渡って名声をもらう。
そしてまた、時空を渡り、敵軍の中を血に塗れながら、戦場を駆けていくのだ。
続く