彼女の瞳が一瞬揺らいだ。
ずっと傍にいた私しか分からない、ほんの少しの変化。
「なぁ、フェイトちゃん」
「…?」
彼女は優しいから、穏やかに笑っているふりをして、私に接してくる。
「…何かあったん?」
「……」
隠し事をしている彼女は、一層無口になる。
昔は分かりやすかった表情の機微も、仕事柄か微笑の仮面をかぶるようになってしまった。
「何かあったんやな?」
断定で聞くと、彼女は私を抱き寄せて、肩に顔を乗せた。
「…はやて」
少し掠れた声が熱く私の名を呼んだ。
「言わなくてもええから」
身長差のせいでいつもは触れない彼女の頭を、優しく抱きしめた。
「私の前で無理せんといて…」
誰にも見せられないなら私だけで、否、私にだけ、心の奥を見せて。
「はやて…」
「ん?」
ぽんぽんと頭を撫でて相槌を打つと、私を抱きしめる力が強くなった。
「…ごめん」
その後に続く言葉は、きっと沢山あって。
でも、私はそれを分かっている。
「謝らんでええから…な?」
「…はやては優しいね」
肩が湿りを帯びてくる。
私は優しくなんかない。
Fin.
ここまでしといてフェイ←はや。いや、フェイ→←はやかな?
はやては独占欲強いと思う。意外に。
フェイトは…なんていうんだろう。監禁欲?w