もうきついって。誰だよこんな長いの書いたの(お前だ
第二十三章 これから
何だろう
何かに包まれているような感覚
温もりが、心地良い
ゆっくりと目を開ける
そこにいたのは…
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なのは達が隊長・フォワード陣全員で見舞いに来ると、彼女が目を覚ました。
「なの…は?」
呆然と上を見ていた顔がこちらを向き、身体を起こした。
なのはとはやては驚いて彼女の下に駆け寄った。
「起き上がって大丈夫なの!?」
フェイトはボーッとしたままだ。
「なのは…」
フェイトはそのまま近づいてきたなのはを抱き寄せた。
「フェ、フェイト!?」
皆の前で急に抱き寄せられて、驚いて声を上げた。
しかし
急に首筋にピリッとした痛みを感じた。
「ふあぁっ!!!」
噛まれたんだと気づく前にあの気持ちよさが駆け巡って、腰が抜けた。
「何しとるん!!」
はやてはフェイトを引っぱたいた。その拍子に意識が完全に覚醒したのか、フェイトは目を瞬かせた。
「あ…れ?私、何してた?」
ふと、抱きしめていたその人の顔を見た。その顔は茹で蛸のように真っ赤になっていた。
「フェイトの…ばかぁあっ!!」
起きてからまだ数分と経たないうちに、フェイトは平手を二発も食らった。
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結果的に言えば、戦争――のちに第二次聖戦と呼ばれるが――は初日、二日目にして首謀者二人が死亡、という形であっけない幕引きだった。
これだけ大規模な戦争がたった二日で終わったというのもかなり稀だろう。
でも、この結末は、一人の少女とバンパイアが出会ったときから決まっていたのかもしれない。
戦いが終わってから三日経った。私やはやてちゃんは、身体的ダメージはほぼ無かったので、今日から出勤することにした。
さっきフェイトの病室に行ったのだが…まあ、色々とあってすぐに戻ってきてしまった。彼女もまた寝ているらしい。
寝起き、悪かったんだ…。
噛まれたことは驚いたが、また新たな発見が出来たことに頬が緩んだ。
「なのはちゃ~ん?廊下歩きながらニヤニヤするんはやめといた方がええよ?」
いつの間にか、隣りにいたはやてちゃんが私を苦笑してみている。
「に、ニヤニヤなんかしてないよ!!」
慌てて両手を振って否定する。
「そうかぁ~?」
はやてがからかうように私の顔をのぞき込んだ。
「ま、今度は寝惚けてへんやろから、後で行ってあげな?」
「はやてちゃん!!」
「はいはい。それより」
軽く私をいなして、はやては打って変わり真剣な顔を見せた。
「あのホムンクルス達について、ちょっとやって欲しいことがあるんやけど…」
確か全部で十二人。人工的に作られ、何も知らずに命令に従っていただけの子達を、頭から決めつけて処分してしまうのはどうかと思っていたが。
ちなみに、アリシアは事件に直接的には関わっていないので、話を聞かれることはあっても、それ以上のことをされることはなかった。もうすでにアースラの組織に入っている。
「でもその前に…こちらに権限がある訳じゃないんでしょう?」
なのはははやてに問い返す。
「いや、それがな…お偉いさん達は第六教会の栄誉を称えて処分は私らに任す言うとんのや。でもな…」
「厄介払いだね…」
なのはははやての言葉をつないだ。簡単に言えば、面倒なのだ。本部はそれ以外の対応でもう手一杯なのは分かっている。
「そうやな…。でも、とりあえず更正プログラムを受けてもらうように手配はしたんやけど…」
「どこの教会に?」
元々どの支部よりも人数が少ない第六教会だけで、そんなに手が回るとも思えない。
「いや、アースラや」
「…本気?」
ホムンクルスをバンパイアに更正させようとするなら、当然批難が出るに決まっている。
「だから、そこでなのはちゃんに頼み事があるねん」
「何?」
「いや、更正プログラムの確認と、実施しているときの監視役や。かなり時間取られると思うんやけど…」
つまり、教導官の仕事があまり出来なくなるということか。
あまりにも深刻そうに言うので、何かと心配になった。
「いいよ、そんなこと」
なのはが快く承諾すると、はやてはあからさまにホッとしたようだった。
「しかし、あれやなぁ。内部に敵がおったことに、聖王教会本部は相当焦っとる。やから、もっと他の教会支部との連携を考えろ言うてんのに…」
はやてはもう一つ気になっていたことを口に出した。
実際あの大がかりな戦争にすぐに対応できたのは私達第六教会と他一つ。
次の日になってもたった三教会しか動かなかった。
「頑張って…変えられると良いんだけどね……」
「でも、なのはちゃんは現場で教えとる方がええんやろ?」
「まあね」
ずるいなぁ、とはやては頬を膨らました。
「まあ…嘆いてもしゃあないし…頑張りますか?自分の場所で」
はやては一度伸びをして笑った。
「うん、そうだね」
なのはも笑い返した。
まだまだやるべきことはある
今はまだ、一歩ずつ
いつか大きな進歩になるように
続く
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